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『月刊マクロビオティック』おすすめ記事

コラム:桜沢如一のコトバに学ぶ

「陰陽原理を応用した食養料理」
日本CI協会刊「マクロビオティック誌」連載
2017年7月号掲載(第82回目)
寺子屋TAO塾代表 波多野毅

鯉鰻は動物中でも最も酸素欠乏に耐えるものに属する。彼等は炭酸ガスの多量に存在するのをさえよく耐える。此の点において、彼等は動物中最も植物に近いものである。漢方医学ではこの鯉の特長をよく理解して数千年来利用し、治病に驚くべき効果を上げている。漢方医学は陰陽無双原理の医学的応用に過ぎないが、それに従えば鯉は極めて陰性の動物である。全ての炎症、ことにクルプ性肺炎の如き急性病、その他激しき熱病に対し何人も「生ける鯉パスター」「鯉の生き血」療法ほど卓絶した効果を上げるのも知らないであろう。之を要するに陰陽無双原理の巧妙な一解釈に過ぎないのである。(「無双原理・易」)

マクロビオティック食事法は「肉、魚、卵、乳製品を使わない」というイメージが強いが、動物性を一切排除した「完全菜食主義」というわけではない。場合によっては「陰陽調和」の考えにより動物性を許容したり、あるいは治療食として活用することもある。

鯉は、「鯉のぼり」や「鯉の滝登り」に象徴されるように生命力が非常に高く、汚れた水にも対応する環境適応能力を持つ川魚の王。薬効の高い「薬用魚」「療養魚」として古来より珍重されてきた。中国の薬物学の集大成「本草綱目」の中にも「乳汁を下し、腫を消す」と記され、妊娠中のむくみや産後の母乳の出を改善するといわれている。

海の中を勢いよく泳ぐ陽性のマグロやサバと違い、淡水の中で静かに泳ぐ鯉は陰性の性質があり、動物( 陽)の
中では、最も植物( 陰)に近く、寿命も長い。炎症や熱病などの陽性の症状に「鯉の生き血やパスター」は効果テキメン。

「鯉こく」は、「陽中の陰」の性質を持つ鯉に対し、野菜( 陰)の中では地中深く伸び( 陽)、煮しめるほどに動物性( 陽)に近くなる「陰中の陽」の性質を持つゴボウと組み合わせた美味しい陰陽調和料理。

悪性貧血、虚弱体質、糖尿病、ガンなどで痩せ衰えた時に食べると胃腸が温まり造血し治癒力が活性化する。時に、頑な玄米菜食にとらわれて極端に痩せ過ぎ、体力を落とした人にも特効あり!

 

波多野 毅

波多野 毅 /はたの たけし

1962年熊本県生まれ。一般社団法人TAO塾代表理事・熊本大学特別講師。修士論文のテーマは「食の構造的暴力と身土不二の平和論」。鍼灸学生時代、日本CI協会、正食協会にてマクロビオティックを学び、93年Kushi Institute勤務。著書に「医食農同源の論理」「自遊人の羅針盤」など。

※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。