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『月刊マクロビオティック』おすすめ記事

コラム:桜沢如一のコトバに学ぶ

「漢方は食養法の子」
日本CI協会刊「マクロビオティック誌」連載
2016年8月号掲載(第71回目)
寺子屋TAO塾代表 波多野毅

「漢方はユダヤ医学の様に劇毒ある化学薬品や、身体を毀き そん損 する野蛮な物理療法(レントゲンにラジウム、切開、摘出手術)を行わない。それだけでユダヤ医学よりも遥かに優れている。漢方の薬品は草根木皮の如きもので、殆ど大部分は『食物』と見ることが出来る。だから真に漢方に造詣の深い医家ならば、ユダヤ医者よりは信頼出来る。食養は漢方の母胎であるのだから、漢方は食養法の子であるのだ。(中略)けれども現代の漢方医と称するもの百人中、九十九人まで食治を知らない。」  ( 食物療法の道しるべ)

西洋医学は対症療法で東洋医学は根本療法だと言われるが、漢方や鍼灸は対症療法であり、元々西洋医学にも自然治癒力を重視する流派はあった。

食事療法を中心に自然にそった生き方に導くナチュロパシー( 自然療法)、手技で体の歪みを取るオステオパシー(骨格療法)、対話や訓練で心の問題を取り除くサイコセラピー(心理療法)、症状と似た状態を引き起こす物質を用いるホメオパシー(同種療法)など。これに、症状を投薬や外科手術で抑えるアロパシー(逆症療法)を加えて西洋医学には5つの流派があった。

しかし、19世紀になるとアロパシーが証明性のある唯一の科学的医学として国家より独占的地位を与えられ、他の流派は非科学的なインチキ医療と排斥され現代医学ではアロパシーが主流となった。そこには学派間の対立
や経済的な利潤を巡っての医療ビジネス的背景もあった。しかし、陰極まれば陽。70年代より現代医学を牽引す
るアメリカで代替補完医療が広がり、ガラパゴス化した日本と違って、世界ではアロパシー医療費は既に30%を切っている。

食はお袋の味から袋の味に、アグリカルチャー(農業)はアグリー(醜い)なビジネスに、医は仁術から算術へと堕落した現代。今こそ、西洋医学の父ヒポクラテスの「人間が病気になるのも、治るのも自然の働き」という医学観に学びたい。ドイツの医科大学教授ジョセフ・イセルス氏は言う。「世界には二人の名医がいる。それは食欲不振と発熱だ」

波多野 毅

波多野 毅 /はたの たけし
(一般社団法人TAO塾代表理事・熊本大学大学院特別講師)


1962年熊本県生まれ。
一般社団法人TAO塾代表。修士論文のテーマは「食の構造的暴力と身土不二の平和論」。現在、熊本大学紛争解決平和構築学研究室客員研究員。鍼灸学生時代、日本CI協会、正食協会にてマクロビオティックを学び、93年Kushi Institute勤務。笑いながら東洋医学の哲学を学べるエデュテイメントを展開中。著書に「医食農同源の論理」「自遊人の羅針盤」など。

※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。