日本CI協会はマクロビオティックの創始者桜沢如一によって創設された日本で最も歴史のあるマクロビオティックの普及団体です。

home クッキングスクール イベントのご案内 書籍紹介 ショップ・レストラン情報 リンク アクセス お問い合せ

活動と入会案内

■協会からのごあいさつ
■概要
■理念
■沿革
■『入会のご案内』
■マクロビオティックとは
・辞書で引くと・・・
・桜沢如一・桜沢里真
・コラム
■研修制度

スタートセミナー日程



健康・病院案内

■健康相談
■定期健康講座
■病院案内

月刊マクロビオティック
食養生や料理レシピなど最新情報が満載です。

■最新号目次
■ご入会の案内
■図書館


マクロビオティックWeb

マクロビオティックWeb

マクロビオティック商品の商社オーサワ

マクロビオティック商品の商社オーサワ

リマネットショップ

 

Home月刊マクロビオティック > 抜粋記事〜今月のおすすめ記事

『月刊マクロビオティック』1月号おすすめ記事

 2014年の新春企画として、学習院女子大学 品川明先生との対談を掲載することができました。昨年の6月、広島で開催された第8回食育推進全国大会で先生を知り、そのお話に共感、同9月にはご多用の中、日本CI協会にご来訪をいただきました。10月には大学の研究室をお尋ねし、当対談を収録させていただくことができました。当誌8月号と9月号の編集後記にも先生を紹介させていただいております。先生が推進されている「フード・コンシャスネス」運動とマクロビオティック運動の心は一つのように思い、一味同心の仲間のような親しみを覚えています。

 品川先生は「フード・コンシャスネスで考える食教育は、人間の五感を通じてその感性や能力を積極的に引き出す人間力復活型教育である」とおっしゃっています。「食に対する感謝の念や自然観、味わいや香りなど五感を耕しながら、生きる力、考える力、文化や未来を創造する力と心を育成したい。見失われつつある日本人の感性を見つめ直し“食は命なり。食は社会なり。食は地球なり”を意識できる人間を育てたい」。それが、品川先生の目指している
フード・コンシャスネスです。

 マクロビオティックは陰陽原理の理解と体得を目的とした教えです。その陰陽の理解には、分析的な知的思考だけでなく、全体をそのままに把握する総合的な感性が必要です。そのためには、何より全身の受容器官の健全な発育が欠かせません。いわゆる昔から六根といわれている視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、知覚の人間としてのバランスのとれた発育です。食物の本当の「美味しさ」は、身体全体で感じて初めて分かるものです。舌に溶ける旨み成分や喉越しの感触だけでは真の満足を得ることはできません。ましてや三大栄養素、ビタミン、ミネラル等の知識だけでは、試験問題にはなっても生活力の向上には役に立たないように思います。

 先生の講義ノートに乗っていた小話です。若い受講者が受講した後、子どもと食事をした際に「このお豆腐おいしいね! 何でできているかわかるかな?」という問いかけをしました。子どもの答えは「お肉」でした。答えがお肉であることに、感心を示しましょう。間違いを指摘するのではなく、豆腐と肉の味わいに共通点があるのかも知れません。
先生の授業は、感性を磨くプログラムで、答えの是非を問うことは無いとのことでした。(勝又靖彦)

品川明さんプロフィール

しながわ あきら
学習院女子大学 国際文化交流部日本文化学科・環境教育センター 教授
農学博士海洋生理生態学、環境教育、人・食・環境コミュケーションを研究分野とし、重要な環境資源である水・食物・生き物・人を通じてそれらの関係を考える。児童・生徒や教員および社会教育指導などに水辺の環境教育プログラムや味覚教育、食物教育を実践している。体験型アクティビティーとそれらを指導するための問いかけをベースにした教育学を提供し、コミュニケーションやファシリテー
ション能力を有し、社会性ある人間を育てることを目標としている。また、最近
では「食べること」「食べるもの」「食べ方」から考え、育てる知の未来を合言葉に、産官学連携食育プロジェクト「フード・コンシャスネス」の実行委員長も務める。

Project for Food Consciousness
HP:http://www-cc.gakushuin.ac.jp/~gwc-ifc/

 

今の時代は、頭で覚える知識
情報が絶対視されている

勝又靖彦会長(以下、勝又):本日はお忙しい中ありがとうございます。

品川明(以下:品川):いえいえ、たまたま色々と重なりまして。静岡でサイエンスコミュニケーターというのがありまして、食を通したコミュニケーションの話をしてきたり、帯広の小学校を回って、メスもハサミも使わない煮干しの解剖教室をしたりしていました。煮干を単なる食材とみるのではなく、もともと生き物であるという価値観から、何からできているのか、どこに棲んでいるのか、何を食べているのかを記憶に留めるために、煮干しを解体するのです。解体すると、頭の中に脳みそがあって、耳じ せき石 があって、エラがあって。エラは何故赤いかというと血があるからだとわかって、口から通じると胃があって、胃の内容物を見るとプランクトンを食べているということがわかって、腸と肛門が続いて……というように。
 食べると筋肉の部分は美味しくて、肝臓の部分が苦くて、脳みそは苦くなくて美味しい。そして、エラや頭の部分はちょっとしょっぱくて身ほど美味しくないとか、こうして解体して食べてみると、色々なことに気がつくのです。
 解体した後は煮干しを使って子どもたちが味噌汁やごはんを作るのですが、食べてみると、普段のごはんと比べて美味しくなってくるのです。自分が作ったという価値観もあるのでしょうが、一連の流れで「いただきます」や「ごちそうさま」、煮干しがあることへの感謝や「もったいない」という思いも全部含めて平らげるということでしょう。その辺の満足感があって、ちょっと時間はかかるのですが、3〜4時間の行程で行わないと、適切な教育にはならないのです。生き物が環境といかに関わって、環境と連動しているかを捉えないと、食材に関してちゃんとした本質を理解したことにはならないのです。

編集部:マクロビオティックにも「一物全体」という考え方がありますね。例えば、大根は先の部分や首の部分、真ん中と外側とでは味が違うといいます。

勝又:もうひとつは「身土不二」ですね。植物も動物も我々人間も、自然環境の一部なのです。だから、この身体だけが自分だと思ったら大間違い。そこが大事なところです。
 品川先生もそんなスタンスで活動されていますよね。それが今の学校では習えない。結局、今の時代は頭で覚える知識情報が絶対視されてしまって、自分の体感や実感で物事が判断できなくなっているのです。特に、食べ物は身体が食べているわけで、頭が食べているわけではないので、身体の五感で感じ取る・判断することがとても大切だと思うのです。
 ところが、身体の実感・体感は、人によって違うのです。普遍的でもないし、絶対的でもない。これは今の教育にはできないのです。要するに学校教育は、ひたすらに知識教育、情報教育であって、これは普遍的絶対的なものと装ってはいるのですが、そんなものは無いのですよ。

品川:私も無いと思います。勝又会長がおっしゃるように、食べ物は身体全体で感じて初めて実感できるのです。その身体全体とは主に口なのですが、食べ物を理解するためには食べ物の見えない部分や隠されている部分を感じ取る意識も必要で、そこまで思いを馳せたところで初めて食べ物の本質を理解できるのです。
 また、知識偏重型の教育は基本的には「教育」とはいえない。「育(はぐく)む」部分が少な過ぎるのです。

勝又:まさにその通り。訓練にはならないのですよね。

品川:教えることで「教」の部分は強いのです。「教」の部分は、ある意味でのルールとか知識などを伝えることで教えられますが、感性や心の部分は教えられないのです。

勝又:自学自習なのですよね。

品川:それを「教育」という今の教育は、間違っているのです。「育む」部分を強調する教育でないとならないし、その教育は食べ物を通してやる方が解りやすくて、記憶に残りやすくなるのです。
 「身土不二」もそうですし、土や農産物、水産物などの一次産業と自然と人との関わりや、生き物と人との関わりも含めて、実感して「育む」部分は、一つひとつの経験によるところが多いですね。好奇心とかは教えられないものですよね。自分で意識を持たない限り……。

勝又:やって見せるしかないですよね。昔の日本には、そういう教育システムがありました。おやじの背中を見て育つとか。野生の動物は皆そうです。巣立ちの仕方などは、まず親がやって見せますよね。ある本で、「習う」という字は、ひな鳥自身が親の姿を真似して羽をバタバタすることだと書いてあるのですが、本来、日本の教育もそういうものだったのではないでしょうか。生きているのはこの身体ですし、食べているのもこの身体ですからね。身体の五感というものを無視した教育や、頭だけの教育というのは、ある意味ナンセンスというか、笑い話と言っていいくらいです。

【1】【2】【次ージ】


※この記事は「月刊マクロビオティック」で連載しています。

購読の申し込みは<コチラ>からどうぞ